補助金と助成金の違いとは?
今回は、違いを把握されていない方がとても多いと思われる、「補助金」と「助成金」の違いについて、簡単に解説していこうと思います。
尚、以前下記の記事にて、補助金と給付金、交付金、支援金の違いについて解説をしていますので、併せてご確認いただけますと幸いです。
目次
各制度の名称について
まず、今回説明させていただく各制度の名称について注意点があります。
各制度の名称については、以前の記事の補助金と給付金、交付金、支援金の違いとは?と同様に、補助金、助成金と書いておりますが、あくまで、一般的なものの説明です。
同じ名称を使っていても、一般的なものとは制度が異なる場合もございますので、申請をする際には、この名称だけで判断をせず、申請する制度の要領等をしっかりとご確認ください。
特に、補助金と助成金の場合は、「補助」と「助成」というように、そもそもの言葉の意味がほぼ同じですので、同じように使われることも多々あります。
今回説明する助成金は、厚生労働省が管轄するものを一般的なものとして記載しております。
補助金と助成金の制度の目的
同じようにお金が交付される制度ですが、補助金と助成金では、制度の目的が違います。
補助金とは、国や地方自治体の政策と合致している事業者等の取り組みをサポートすることを目的とした制度です。
上記の取り組みに使った金額の一部、もしくは、全額が交付されます。
助成金とは、何らかの影響を受けて困っている事業者の、主に雇用や職場改善等の取り組みをサポートすることを目的とした制度です。
上記の取り組みに使った金額の一部、もしくは、全額が交付されます。
大きな部分は共通するのですが、根本的な目的が違うことから、様々な違いがあります。
補助金と助成金で共通する内容
まずは、共通する内容から見ていきましょう。
共通する内容は、以下のものが挙げられます。
・国や地方自治体から交付される。
・交付後、返済する義務はありません。
(もちろん、不正に交付を受けた場合等は、返還する義務はありますし、罰則などもあります。また、補助金は収益納付というものがある場合もあります。詳しくは、こちらをご覧ください。)
・交付されたお金は、該当する事業に充てなければならない。
・申請後に実績報告をする必要がある。
・正しく実施されたことが確認された後に交付される。(後払い)
こちらは、共通点がとても多いです。
どちらも同じもののように思えてしまいますね。
補助金と助成金で異なる内容
それでは、異なっている内容を一つ一つ見ていきましょう。
管轄
補助金は、経済産業省や地方自治体が管轄していることが多いです。
助成金は、厚生労働省が管轄していることが多いです。
こちらは、下記の記事で解説をしている各種手続き代行やサポートの依頼先に関わるところです。
補助金、助成金、給付金申請の各種手続き代行やサポート依頼先は?
対象者
補助金は、法人や個人事業主等の事業者が対象のものが多いです。中には個人が申請できるものもあります。
助成金は、法人や個人事業主等の事業者が対象です。
助成金は、雇用や職場改善等に対する制度ですので、基本的には事業者に限定されます。
種類数
補助金は、数多くの種類があります。
助成金も、ある程度の種類がありますが、補助金ほど多くはありません。
補助金は、本当に数多くの種類があるため、ご自身に合う補助金を探すだけでも一苦労です。
これに対して、助成金は、要件を満たしていれば交付を受けられるということもあり、補助金ほどの種類はありません。
交付金額
補助金は、低額なものから高額のものと様々です。
助成金は、補助金と比べると1件あたりの額は低額のものが多いです。
補助金の場合ですと、事業者向けは、補助金額が億単位というものもありますが、個人向けは、低額のものも多いです。
これに対して、助成金は、要件を満たしていれば交付を受けられるということもあり、補助金と比べると1件あたりの額は低額のものが多いです。
申請に係る労力
補助金は、事業計画書など提出する書類が多いため、申請にはとても労力がかかります。
助成金は、計画書など提出する書類が多いため、申請にはとても労力がかかります。
補助金の事業計画書は、一からを作り上げないといけないということもありますが、この事業計画書の内容次第で採択が左右される、言わばプレゼンテーション用の書類となります。
助成金の場合は、補助金とは違い、書類にプレゼン的な意味合いはないですが、書類の量が多い場合は作業量も多いです。
どちらも労力はかかりますが、補助金のほうが労力としては大きいかもしれません。
交付される確率
補助金は、要件を満たし、所定の手続きどおりに申請をしても、採択されなければ交付を受けられません。この採択率は申請する補助金によって様々です。
助成金は、要件を満たし、所定の手続きどおりに申請をすれば、概ね交付されます。
上記の交付される確率が最大の違いです。
補助金には、採択という大きなイベントがあります。
ここで、補助金を交付するかしないかを判断されます。
助成金には、採択はありませんので、不備が無ければ、概ね交付されます。
補助金は、交付されない場合があるので、補助金サポート業者の成功報酬が高めに設定されるというのも、仕方がないと思います。
しかし、助成金の場合は、要件を満たしていれば概ね交付されるので、作業量に見合っているかどうかは気にされたほうがいいかもしれません。
逆に、サポート業者の立場からすると、着手金なしとして、完全成功報酬で報酬を高めにしても、リスクはとても少ないですね。
補助金と助成金の比較表
上記までの内容を表にまとめると以下となります。
項目 | 補助金 | 助成金 |
---|---|---|
交付元 | 国や地方自治体 | 国や地方自治体 |
返済義務 | なし (収益納付が必要な補助金も有り) | なし |
使用用途 | 補助対象事業等の一部に充てることしかできない | 助成対象事業等の一部に充てることしかできない |
申請後の作業 | 実績報告あり | 実績報告あり |
交付されるタイミング | 後払い (申請後に採択され、補助対象事業等に対してお金を支払って、実績報告をして、正しく実施されたことが確認された後に交付される) | 後払い (助成対象事業等に対してお金を支払って、実績報告をして、正しく実施されたことが確認された後に交付される) |
管轄 | 経済産業省や地方自治体が多い | 厚生労働省が多い |
対象者 | 事業者が対象のものが多いが、個人が申請できるものもある | 事業者が対象 |
種類数 | 多い | 補助金と比べると少ない |
交付金額 | 低額なものから高額のものと様々 | 1件あたりの額は低額のものが多い |
申請に係る労力 | 大きい | 補助金と比べると若干少なめ |
交付される確率 | 申請しても必ず交付されるわけではない 採択率は申請する補助金によって様々 | 概ね交付される |
まとめ
今回は、補助金と助成金の違いを説明してみました。
上記に記載したとおり、補助金と助成金の最大の違いは交付される確率です。
補助金は要件を満たしていても、採択されなければ交付されませんが、助成金は概ね交付されます。
ここだけ押さえておけば十分だと思います。
前回の給付金等と同様に、補助金と助成金のどちらがいいという話でもないですし、利用できるものは利用したほうがいいとは思います。
助成金という制度名でも、中身は補助金と同じだったり、その逆もあります。
本当にわかりづらいので、統一してほしいところですが、今回の記事で書かせていただいたような区分けとされている場合が多いです。
今回の記事で書かせていたただいたような一般的な違いを押さえておいていただければ、運営主体や業者との話もスムーズになるかもしれないです。
どちらであっても、申請時も、申請後も、とても労力を要します。
しかし、その労力と比べ物にならないほどの大きな金額のお金が入る場合もあります。
新型コロナウイルス感染症関連の雇用調整助成金などは、多くの企業が利用されていると思います。
企業などにとっては、助成金は必要不可欠とも言えますね。
ご自身の事業等を成長させるために、是非ご利用をご検討ください。
こちらの記事が、補助金や助成金のご利用の検討の一助になれば幸いです。