建設業を営んでいても、建設業許可が不要な場合がある?軽微な建設工事とは?

建設業を営もうとする方は、建設業許可の取得が必要です。

では、全ての建設業を営む事業者は、建設業許可の取得が必要なのでしょうか?

建設業法の軽微な建設工事とは何でしょうか?

建設業許可の取得が不要な場合でも、気をつけるべきことはあるのでしょうか?

今回は、このような内容について解説していきたいと思います。

全ての建設業を営む事業者は、建設業許可の取得が必要?

結論から申し上げますと、全ての建設業を営む事業者に対して、建設業許可の取得が必要とはされていません。

建設業法を確認すると、以下の記載があります。

(建設業の許可)
第三条 建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。
一 建設業を営もうとする者であつて、次号に掲げる者以外のもの
二 建設業を営もうとする者であつて、その営業にあたつて、その者が発注者から直接請け負う一件の建設工事につき、その工事の全部又は一部を、下請代金の額(その工事に係る下請契約が二以上あるときは、下請代金の額の総額)が政令で定める金額以上となる下請契約を締結して施工しようとするもの
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6 第一項第一号に掲げる者に係る同項の許可(第三項の許可の更新を含む。以下「一般建設業の許可」という。)を受けた者が、当該許可に係る建設業について、第一項第二号に掲げる者に係る同項の許可(第三項の許可の更新を含む。以下「特定建設業の許可」という。)を受けたときは、その者に対する当該建設業に係る一般建設業の許可は、その効力を失う。

上記、第3条第1項に「ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。」とあります。

ここですね。

「政令で定める軽微な建設工事のみを請け負う」のであれば、建設業許可は必要ありません。

上記の第3条第1項第1号、第2号は、「政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする」方以外の建設業を営もうとする方を網羅しているため、必ず許可が必要となります。

ちなみに、第6項に記載されているとおり、第1項第1号は「一般建設業の許可」の説明、第1項第2号は「特定建設業の許可」の説明です。

建設業法の軽微な建設工事とは?

「政令で定める軽微な建設工事のみを請け負う」のであれば、建設業許可は不要ということがわかりましたが、「政令で定める軽微な建設工事」について調べてみましょう。

まず、建設業法の「政令」とは、建設業法施行令です。

この建設業法施行令では、軽微な建設工事について、以下のように記載されています。

(法第三条第一項ただし書の軽微な建設工事)
第一条の二 法第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事は、工事一件の請負代金の額が五百万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、千五百万円)に満たない工事又は建築一式工事のうち延べ面積が百五十平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事とする。
2 前項の請負代金の額は、同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額とする。ただし、正当な理由に基いて契約を分割したときは、この限りでない。
3 注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送賃を当該請負契約の請負代金の額に加えたものを第一項の請負代金の額とする。

少し読みづらいので、まとめてみます。

上記に記載されている軽微な建設工事とは、以下の工事です。

○建築一式工事(① 、②いずれかに該当する場合)
 ①1件の請負代金が1,500万円(消費税及び地方消費税を含む)未満の工事
 ②請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事

○建築一式工事以外の建設工事
 1件の請負代金が500万円(消費税及び地方消費税を含む)未満の工事

上記の請負金額について、建設業法施行令には明記されているわけではありませんが、消費税及び地方消費税を含めた額で判断されることにも注意が必要です。

今後、消費税等が増税された場合は、軽微な建設工事として請け負うことが出来る工事の金額が小さくなってしまいますので、消費税等の動向には、十分に注意する必要があります。

また、第1条の2第2項に記載されているとおりですが、同一の建設業を営む方が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、正当な理由に基づいて契約を分割したときを除き、各契約の請負代金の額の合計額となります。

さらに、第1条の2第3項に記載されているとおり、注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送費を当該請負契約の請負代金の額に加えた額となります。

なお、上記の「木造住宅」については、「建設業許可事務ガイドライン」において、下記のとおり説明されています。

3.令第1条の2の「軽微な建設工事」について
(1)「木造」とは、建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるものをいう。
(2)「住宅」とは、住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で延べ面積の2分の1以上を居住の用に供するものをいう。

出典:「建設業許可事務ガイドライン」(国土交通省) (https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001581332.pdf)

ちなみに、建築基準法第2条第5号は以下のとおりです。

第二条
五 主要構造部 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。

建設工事については、下記の記事で解説をしておりますので、ぜひご覧ください。

 建設業法における建設工事とは?建設工事に該当しない工事かを簡易的に判別する方法は?

建設業許可の取得が不要な場合でも、気をつけるべきことは?

上記のような、軽微な建設工事のみを請け負う場合は、建設業許可が不要なのですが、実はそれ以外にも登録・届出制が規定されている業種があります。

それは、電気工事業、浄化槽工事業、解体工事業です。

内容は、各種関連法令で規定されていますので、順に列挙しておきます。

電気工事業

電気工事業の業務の適正化に関する法律(電気工事業法)には、以下の記載があります。

(登録)
第三条 電気工事業を営もうとする者(第十七条の二第一項に規定する者を除く。第三項において同じ。)は、二以上の都道府県の区域内に営業所(電気工事の作業の管理を行わない営業所を除く。以下同じ。)を設置してその事業を営もうとするときは経済産業大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設置してその事業を営もうとするときは当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。

(自家用電気工事のみに係る電気工事業の開始の通知等)
第十七条の二 自家用電気工作物に係る電気工事(以下「自家用電気工事」という。)のみに係る電気工事業を営もうとする者は、経済産業省令で定めるところにより、その事業を開始しようとする日の十日前までに、二以上の都道府県の区域内に営業所を設置してその事業を営もうとするときは経済産業大臣に、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設置してその事業を営もうとするときは当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事にその旨を通知しなければならない。

浄化槽工事業

浄化槽法には、以下の記載があります。

(登録)
第二十一条 浄化槽工事業を営もうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。

解体工事業

建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)には、以下の記載があります。

(解体工事業者の登録)
第二十一条 解体工事業を営もうとする者(建設業法別表第一の下欄に掲げる土木工事業、建築工事業又は解体工事業に係る同法第三条第一項の許可を受けた者を除く。)は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。

上記の業種においては、請負金額が少なくても、なんらかの手続きが必要となりますので、ご注意ください。

まとめ

今回は、建設業を営んでいても、建設業許可が不要な場合があるのか、軽微な建設工事とは何か、建設業許可の取得が不要な場合でも気を付けるべきこと、などについて解説しました。

まとめると以下のとおりです。

・「政令で定める軽微な建設工事のみを請け負う」のであれば、建設業許可は不要。

・「政令で定める軽微な建設工事」とは、以下の工事。
 ○建築一式工事(① 、②いずれかに該当する場合)
  ①1件の請負代金が1,500万円(消費税及び地方消費税を含む)未満の工事
  ②請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事
 ○建築一式工事以外の建設工事
  1件の請負代金が500万円(消費税及び地方消費税を含む)未満の工事

・建設業許可の取得が不要な場合でも、電気工事業、浄化槽工事業、解体工事業においては、登録・届出制が規定されているため、なんらかの手続きが必要。

しっかりと内容をご理解いただき、制度を守ったうえで、業務に従事していただければと存じます。