小規模事業者持続化補助金申請は、サポート業者に丸投げできる?代行は違法?(第14回公募以前)

こちらの記事は第14回公募以前に執筆しております。

第15回公募より、記入(入力)や申請は、申請者ご自身で行うように公募要領に記載されていますので、ご注意ください。

丸投げが出来ないことについては、以下の記事に記載している内容から変更はありません。

小規模事業者持続化補助金の公募要領などを見て、「大変だな・・・」と感じる方が多いと思います。

そういった方の中には、作業を丸投げしたい、代行してもらいたい、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

では、小規模事業者持続化補助金申請の作業は、全てサポート業者に丸投げできるものなのでしょうか?

小規模事業者持続化補助金申請の作業を、サポート業者が代行することは違法なのでしょうか?

小規模事業者持続化補助金申請の作業代行は、どのサポート業者に依頼してもいいのでしょうか?

今回は、これらについて、解説していきたいと思います。

小規模事業者持続化補助金申請の作業は、全てサポート業者に丸投げできる?

結論から申し上げると、こちらはできません。

公募要領にも記載されておりますが、小規模事業者持続化補助金は、「小規模事業者等が自ら自社の経営を見つめ直し、経営計画を作成した上で行う販路開拓の取組を支援するもの」であることから、事業者自らが検討しているような記載が見られない場合、評価に関わらず採択の対象とならないことがあります。

少なくとも、「自社の経営の見つめ直し」や、「経営計画を作成した上で行う販路開拓の取組」は、必ず事業者自らが行わなければいけません。

「経営計画を作成した上で行う販路開拓の取組」は、「経営計画の作成」と、「経営計画を作成した上で行う販路開拓の取組」に分解できます。

「販路開拓の取組」については、実際の取組む事業のことなのか、補助事業計画の作成も含めているのか、とてもわかりづらい表現ですが、補助事業計画の作成も含めていると捉えておきましょう。

さらに、仮に受給を受けたとしても、もし不正受給とみなされた場合には、処罰される可能性もあります。

罰則については、小規模事業者持続化補助金は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(以下、補助金適正化法)に基づいて実施されているため、補助金適正化法の第29条に記載されている罰則が適用されます。

第二十九条 偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け、又は間接補助金等の交付若しくは融通を受けた者は、五年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

2 前項の場合において、情を知つて交付又は融通をした者も、また同項と同様とする。

「丸投げOK!」等と宣伝している業者は、おそらく最終的に事業者様が処罰を受ける可能性もある事をわかっていたうえで、そのような事を言っているわけですので、あまり信用はしないほうがいいかもしれません。

今回の記事では、小規模事業者持続化補助金にフォーカスしていますが、基本的に補助金は、事業者が主体的に検討した事業計画をサポートするためのお金ですし、さらに、基本的に補助金適正化法に基づいて実施されますので、どの補助金申請においても同様であると捉えて頂いたうえで、申請に臨まれたほうが安全です。

小規模事業者持続化補助金申請の作業を、サポート業者が代行することは違法?

今までの説明を読んでいただいた方の中には、「それではサポート業者に代行の依頼などできないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

他のサイトなどでも、小規模事業者持続化補助金申請の代行は違法、と書かれているサイトもあると思います。

しかし、実際には、すべての書類作成等の作業を、サポート業者が代行することができない、というわけでもありません。

どの作業を代行するかによります。

サポート業者が代行できない項目

経営計画の作成

まず、上記までの説明のとおり、小規模事業者持続化補助金申請においては、小規模事業者等が自ら自社の経営を見つめ直し、経営計画を作成しなければいけません。

ということで、こちらの経営計画の作成を、第三者が代わって行うことはできません。

勘が鋭い方は、上記までのご説明をお読みいただければご理解いただけるかもしれませんが、経営計画「書」の作成ではなく、経営計画「自体」の作成です。

書類の作成自体は、サポート業者に代行依頼をすることも可能です。

経営計画の「作成」と書いてあるので、とてもわかりづらいのですが、経営計画の「作成」は、経営計画の「策定」と同義ですね。

こちらについて、実際に事務局の方にも確認を取ってみましたが、上記のとおり、「経営計画書 兼 補助事業計画書(様式2)の内容については、自らが作成する必要があるが、書類作成等のPC作業を、第三者が代行することは問題ない」との回答でした。

補助事業計画の作成

上記のとおり、事務局の方からは「経営計画」だけではなく、「経営計画書 兼 補助事業計画書(様式2)」の内容について自らが作成する必要がある、と回答を頂いています。

上記でもご説明したとおりですが、「補助事業計画」も自らが作成しなければいけません。

こちらも補助事業計画「書」ではなく、補助事業計画「自体」です。

こちらも経営計画と同様ですが、書類の作成自体は、サポート業者に代行依頼をすることも可能です。

そもそも、事業者が主体的に検討、策定していない経営計画や補助事業計画なんて、実施できないですから、当然と言われれば当然です。

補助事業はご自身が実施しなければならないわけですし、「自分が考えた計画じゃないから」と言って逃げられるわけではないですからね。

事業者ご自身しかわからない状況やご自身が決定すべき事項

「経営計画書 兼 補助事業計画書(様式2)」等には、企業概要、顧客ニーズ、市場動向、自社の強み、必要経費など、ご自身でないとわからないことも数多く記入しなければいけません。

当然ですが、これらをサポート業者が勝手に作り上げることはできません。

「経営計画書 兼 補助事業計画書(様式2)」の作成自体の代行を依頼する場合であっても、打ち合わせなどのやり取りをしながら進めていくことが必要となります。

事業支援計画書(様式4)の交付依頼等

小規模事業者持続化補助金事業は、小規模事業者が商工会・商工会議所の支援を直接受けながら取り組む事業であるため、こちらも事業者ご自身で対応しなければいけません。

なぜ小規模事業者持続化補助金申請の作業を、サポート業者が代行することは違法、と説明しているサイトがある?

こちらについてですが、「申請代行」と聞いたとき、皆様はどういった内容を思い浮かべるでしょうか?

もしかしたら、「申請代行」=「丸投げできる」と考えられる方もいらっしゃるかもしれません。

小規模事業者持続化補助金申請の代行は違法、と書かれているサイトは、そういったような誤認をされないために、そのように記載しているのかもしれません。

しかし、どんな申請代行もそうですけど、普通のサポート業者であれば、申請者が決めなければいけないことまで代わりに行うということはしないと思いますけどね。

申請者が決めるべきことは、申請者が決めて、それ以外の作業等を代行する、というのが、通常の流れだと思います。

例えば、許認可申請とかの代行でもそうですけど、許認可を受けたくない人の代わりに勝手に代行申請することは絶対にないですし、申請者本人に聞いてもいない経歴などを、勝手に作って申請するなんてことも絶対にないですからね。

ただし、すべての補助金申請において、作業代行を容易に行えるわけではありません。

小規模事業者持続化補助金も該当しますが、申請作業において、事業者のGビズIDアカウントなどを利用する場合もあります。

GビズIDアカウントを利用する場合は、その対応についてどのようにするかは、事業者様とサポート業者で話し合いながら進めなければいけません。

GビズIDアカウントの取り扱いに関しては、下記の記事で細かく説明していますので、ぜひ一度ご覧ください。

 GビズIDを利用する申請では代行は不可?アカウントの第三者への開示や使用させることは不可?

余談ですが、他の補助金のIT導入補助金などにおいては、別のアカウントの使用制限を規約に設けているため、申請作業代行を行うことが、さらに困難な作りになっています。

こちらの事務局に聞いたときには、基本は本人がやるべきで、事務局ではそれ以外の情報はない、ということだったので、そのようにしている理由は全く聞けませんでしたが、PCが使えない人は、IT導入などはさせない、ということでしょうかね?

そのための機器等のような気もしますけど・・・。

経営計画等の作成は、なぜサポート業者に代行依頼ができない?

では、経営計画等の作成代行を禁止している理由は何でしょうか?

こちらについても事務局の方についでに伺ってみましたが、「様々な理由があるが、事業者以外の第三者が、勝手に経営計画書を作成、提出をして、その計画内容や提出の事実を、事業者が全く知らない状態でありながら、第三者が不正に受給する、というようなことの防止も理由のひとつ」と仰られていました。

なので、少なくとも事業者が内容を把握していることは必須条件ですね。

とはいえ、基本的には、事業者が自主的に検討したものに対する支援が、この補助金の趣旨ですので、必ず守りましょう。

小規模事業者持続化補助金申請の作業代行は、どのサポート業者に依頼してもいい?

上記までをご覧いただいたとおり、内容によって、小規模事業者持続化補助金申請の作業代行を依頼できるということがわかりましたが、各種書類の作成代行は誰に依頼しても問題ないのでしょうか?

実は、補助金の申請書類のような、官公署に提出する書類の作成は、行政書士の独占業務ですので、行政書士のみが対応することができます。

こちらに反する場合は、行政書士法違反となってしまう恐れがあります。

代行を依頼する場合には、こちらについても注意が必要です。

とはいえ、書類に対する添削や指摘などのアドバイス受けるだけであれば、行政書士以外でも対応可能ですので、実際に提出する書類は全てご自身で書き上げる、という場合には、どなたにアドバイスをもらったとしても全く問題ありません。

また、補助金申請に絡んだ税務関連の相談、アドバイスも含めて希望される場合は、税理士の独占業務ですので、税理士に依頼しましょう。

まとめ

今回は、小規模事業者持続化補助金申請の作業を丸投げできるのか、代行は違法なのか、誰に依頼してもいいのかなどについて説明してみました。

まとめると以下のとおりです。

・小規模事業者持続化補助金申請の作業を、全てサポート業者に丸投げすることは出来ない。

・小規模事業者持続化補助金申請の作業で、下記のような事業者ご自身で対応しなければならない内容以外を、サポート業者が代行することは違法ではない。
  ・経営計画の作成
  ・補助事業計画の作成
  ・事業者ご自身しかわからない状況やご自身が決定すべき事項
  ・事業支援計画書(様式4)の交付依頼等

・小規模事業者持続化補助金申請の作業代行は、書類作成まで依頼する場合は行政書士に依頼する必要がある。アドバイスを受けるのみであれば、どなたに依頼してもOK。

経営計画、事業計画などは、事業者自身が決めることです。

事業者の事業内容等についても、事業者自身しかわからないことがたくさんあります。

その他、申請する補助金事業が、事業者自身に求めている対応もあります。

このような第三者が決めることが出来ない内容等については、代行依頼することは不可能ですが、上記まででご説明したとおり、事業者が全ての書類を書き上げないといけないのか、ということでもないです。

実際に事務局の方と話をした中でも、「PC作業や書類作成等が不得手な方等に対して、全ての書類を書き上げて、と言っているわけではない」と仰っていました。

そんなことを求めているとしたら、その作業をする時間を通常の業務に充てたほうが利益が出る可能性が高いわけですから、ただの足かせでしかありません。

そうであれば、この補助金事業の目的の「小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図」っているとは言えませんしね。

とはいえ、補助金の原資は税金ですから、事務局としても、誰彼構わず給付することもできません。

補助金を受け取りたいのであれば、最低でも経営計画や補助事業計画を事務局に説明をしないと、事務局としても、その事業者がどのような事業をしているか、どのような事業をやりたいのか等が全く分かりません。

そこに関しては、事業者に対して、書類による提出を求めている、という感じです。

それらを書類に落とし込んで、補助金が必要であることをプレゼンする、というのが補助金申請ですが、公募要領とかも、めちゃくちゃ読みづらいですし、事業者様が作業自体をするなんて、時間がもったいないです。

補助金事業の趣旨を理解したら、細かい説明や作業は、サポート業者に依頼してしまいましょう。

尚、今回は、小規模事業者持続化補助金にフォーカスしてご説明をしておりますが、ほとんどの補助金にも共通する考え方となります。

こちらに記事が、皆様の補助金申請時の参考になれば幸いです。